糖質が多い「甘い」赤ワイン・白ワインの国別一覧まとめ

糖質制限中のお酒は、一般的には「蒸留酒がいい」と言われますが、醸造酒の中でもワインに関しては、比較的糖質が少なめなので、量に注意すれば大丈夫とも言われていますよね。

ですが、ワインの中には糖質量がかなり多い「超甘口」タイプのものも結構あります。そこで、世界の主要なワインの中で、特に「甘く作っている」タイプの甘口ワインをまとめました。

糖質制限中の人で「ワインをもらったけど、このワインの糖質は大丈夫?」という時。また、糖質制限意外の人でも「甘口ワインが欲しいけど、どの国にどんな種類がある?」という時のブックマーク用になる記事です。

 

一般的なワインの糖質量【基準値】

「糖質制限の本」や、情報サイトに書かれている赤ワインや白ワインの糖質量は次のような数値をよく見かけます↓

種類 糖質(100gあたり)
 赤ワイン  1.5g
 白ワイン  2.0g
 ロゼ ワイン  4.0g
 スパークリング  2.0g

文部科学省から発表されている「第2章 五訂増補日本食品標準成分表(本表)」の項目内、「し好飲料類 (PDF)」にも同様の事が書かれています。

ただ、この数値はあくまでも「平均的な数値」であり、ワインの種類によっては 大幅に違う糖質量になるのです。

「貴腐ワイン」や「アイスワイン」のように、分かりやすく「甘い」タイプのワインはもちろん、国や産地によっては、甘口タイプのワインも相当数 存在しています。

という事で、代表的な甘いタイプのワインを国別で紹介していきます↓

 

フランスの甘口ワイン

フランスではAOCと呼ばれる制度によって、ワインの格付けを行っています。「シャトー・マルゴー」や「ロマネ・コンティ」等のAOC名は特に有名で知名度も高いですよね。

こういったフランスのAOCは、かなり膨大な種類がありますが、AOCによっては、甘口で作る事が義務づけられているタイプもあります。

ですので「AOC名を見る事で、ある程度 糖質が多い甘口ワインかどうか判断できる」という事です。

一般的に、甘口タイプのあるAOCをフランスの地域別で紹介していきます↓

ソーテルヌ地区

「貴腐ワイン」と呼ばれる甘口白ワインで有名。

ボトリティス・シネレア菌と呼ばれるカビに、あえて感染させる事で糖度を高めたワインで、糖質たっぷりです。

実際に飲む時も、まるでシロップのように甘さが強いので、ワイン感覚で飲むというより、食後に「デザートワイン」として、ほんの少し飲むという感じ。

フランスワインの規制法であるAOC名では、セロン・バルザック・ソーテルヌ。より上級の証であるコミューヌ(村名)貴腐ワインには、バルザック・ボム・ファルグ・プレニャック・ソーテルヌの5種類です。

特にソーテルヌの「シャトー・ディケム」は、世界三代貴腐ワインの一つにもあげられている特級品です。

アントル・ドゥ・メール地区

ガロンヌ河右岸と地域は、ソーテルヌ地区の対岸にある地区で、ソーテルヌと同じく貴腐ワインがあります。AOC名は、カディヤック・ルピアック・サント クロワ デュ モンの3種類です。

また、地区全域としては、 ボルドー オーブノージュ という 甘めの白ワイン。ガロンヌ川右岸地区でコート ド ボルドー サンマケール という甘めの白。ドルドーニュ河右岸にサント フォワ ボルドーと呼ばれる やや甘めの白ワインがあります。

ボルドー全域

ランクとしては、AOCの中でも低めとなるボルドー地区全体のAOCの分類には、ボルドー シュペリュールと呼ばれる やや甘めの白ワインがあります。

アンジュ&ソミュール地区

フランスの中でも、甘口系ワインがかなり多い地域です。「シュナン・ブラン」と呼ばれる香り高い品種を使って、貴腐ワインや「過熟成」による甘口の白ワインがたっぷりあります。

一気に箇条書きで紹介していきます↓

  • アンジュ :辛口もしくは、やや甘口の白ワイン。
  • アンジュ コトー ド ラ ロワール:貴腐ワインor 過熟成による白ワイン。
  • サヴニエール(AOC上ランク):甘口白ワインです。糖質量によって表記が変わります。残糖が8〜18g/lでDemi-Sec。残糖18〜45g/lでMoelleux。残糖が45g/lは超甘口のDouxという表記がつきます。
  • サブニエール クレドセラン(AOC上ランク):辛口から甘口の白ワイン。
  • サブニエール ロッシュ オー モワンヌ(AOC上ランク):辛口から甘口の白ワイン。
  • コート ド ローバンス(AOC上ランク):貴腐ワインor 過熟成による白ワイン。
  • コトー デュ レイヨン:貴腐ワインor 過熟成による白ワイン。
  • ショーム(AOC上ランク):貴腐ワインor 過熟成による白ワイン。
  • カール ド ショーム(AOC上ランク):貴腐ワインor 過熟成による白ワイン。
  • ボヌゾー(AOC上ランク):貴腐ワインor 過熟成による白ワイン。
  • コトー ド ソミュール(AOC上ランク):貴腐ワインor 過熟成による白ワイン。

シャンパーニュ地方

いわゆるシャンパンが作られている地方です。AOC名はシャンパーニュ・コトー シャンプノワ・ロゼ デ リセの3つ。

シャンパンは瓶の瓶の中で発酵させて炭酸ガスを閉じ込める事で作られますが、発酵時に5〜6週間かけて「瓶をちょっとづつ回転」させて「澱」を集める行程があります。

溜まった「澱」は、マイナス20℃の塩化カルシウム水溶液に瓶口をつけて、澱を含む部分を急速冷凍。凍った部分を含む栓を外し「澱」をいったん出して再び栓をします。

この「凍らせていったん栓をする」という行程の時に、炭酸ガスによって 中身が減ってしまうので、これを補填するためにワイン+糖分のリキュールを足しています。

この足す行程をドサージュと言われていて、ドサージュする時の糖分添加量によって、シャンパンの甘さが決定してるのです。

以下、その甘味度の表示。下に行くにつれて残糖量が増え甘口になっています↓

  • Brut Nature ブリュットナチュレ/Pas Dose パ ドゼ/ Dosage Zero ドサージュゼロ:残糖量 3g/l未満。
  • Extra Brut エクストラ ブリュット:残糖量 0〜6g/l。
  • Brut ブリュット:残糖量 12g/l未満。
  • Extra Dry エクストラ ドライ:残糖量 12〜17g/l。
  • Sec セック:17〜32g/l。
  • Demi-Sec ドゥミ セック:32〜50g/l。
  • Doux ドゥー:50g/l以上。

セック以上のものについては、「甘い」と感じるタイプで、糖質量的にも要注意なタイプになります。

トゥレーヌ地区

「フランスの庭園」とも呼ばれている地域です。ここでもアンジュ&ソミュール地区と同じくシュナン・ブラン品種を使った甘口ワインがちらほら。

高級な小地区AOCでは、ヴヴレと、モンルイ シュル ロワールの2箇所で辛口もしくは甘口の白ワインが。

小地区よりもランクが下となる地域名AOCでは、トゥレーヌ・トゥレーヌ アンボワーズ ・トゥレーヌ メスラン・トゥレーヌ アゼル リドーの4箇所で辛口〜甘口の白ワインがあります。

AOCの中でも「辛口〜甘口がある」というタイプのものは結構あって、「甘口しかない」というタイプと比べると、実際に開けて飲んでみないと糖質多めかどうか分からない…という点があります。

この辺りは、後述する「ドイツワイン」等と比較すると、分かりにくい部分になってしまってますね。

メリディオナル地区

メリィディオナルは、地中海に近いフランスの南側の地域です。

Vins Doux Naturels (通称 V.D.N)と言う、日本語的には「天然甘口ワイン」と呼ばれるワインがあります。

通常のワインは、葡萄の中の糖分を発酵させる事で、アルコールと炭酸ガスに分解しワインを作っています。

一方で、 V.D.Nは発行中にブランデー等を添加して、発酵中の酵母の働きを強制的に停止。途中で止めてるので、葡萄の糖分も残っているので「甘い」という仕組みです。

AOC名では、ラストーが赤 白 ロゼの全てのV.D.Nワインが。ミュスカ ド ボーム ド ヴニーズ と呼ばれるAOCで白のV.D.Nがあります。

アルザス地方

ライン川をはさんで、ドイツに隣接しているような地区なので、ドイツワインの品種や、ドイツっぽい名称のワインが多い場所です。

フランスでは珍しく、品種名をボトルに表記するのが一般的な地域でもあります。

(「地域名だけ書いとけば、どの品種使ってるか分かるよね?」というのがフランスのワインの作り手ならではのこだわりとの噂も…)

上質指定品種として4種類の葡萄が決められていて、「リースリング」「ゲヴュルツトラミネール」「ピノ・グリ」「ミュスカ」があります。

そして、AOC名ではアルザスと、特級クラスである アルザスグラン・クリュが存在。

この2つのAOCに「付記」する形で、「ヴァンダンジュタルティブ」「セレクション グランノーブル」と書かれているボトルがあり、これらが糖質 多めなワインです。

先に紹介した、4つの品種を使っている事と、一定量の糖質が残ってる(あえて残糖させている)事が条件で名乗る事ができ、「ヴァンダンジュタルティブ」は遅積みで 糖分多めのタイプ。「セレクション グランノーブル」は、いわゆる貴腐ワインです。

また「葡萄は手積みしたものだけでなければ、こう名乗ってはいけない」等の厳しめルールが課せされてるワインでもあります。

「糖質」的には、かなり甘めで完全アウトなワインですが…、希少なワインである事は確実なので、見かけた時は ちょっとだけ「糖質解禁」して試してみたいものですね。

ジュラ地方

ジュラ地方には、他には見られない、ちょっとめずらしい甘口ワインがあります。「ヴァン ド パイユ」と呼ばれるワインで、日本語に訳すと藁(わら)ワインという意味。

収穫した葡萄からワインを作るのではなくて、藁の上で3〜4ヶ月ほど干して「干し葡萄化」させ、糖度を凝縮させた干し葡萄から仕込むので甘口ワインに仕上がります。

AOC名としては、コート デュ ジュラ・アルボワ・アルボワ ピュピアン・レトワールの4種類で「ヴァン ド パイユ」があります。

また、マクヴァン デュ ジュラというAOCでは、V.D.Lと呼ばれる甘口ワインも作られています。

メリディオナル地区で説明したV.D.Nと似ていますが、「V.D.L」はVins de Liquer の略で、V.D.Nが途中でアルコールを足して発酵を止めて甘さを残すのに対し、V.D.Nは、ブドウ果汁に最初からブランデー等を添加し、アルコール発酵をさせずに甘さを残したワインです。

南西地方

ワイン産地として有名なボルドーの東からピレネー山脈にかけた南西地方にも、様々な甘口ワインがあります。

以下、AOC名別に羅列しています↓

  • コート ド モンラヴェル:やや甘口の白ワイン。
  • オー モンラヴェル:やや甘口か、甘口の白ワイン。
  • ロゼット:やや甘口の白ワイン。
  • ソーシャニャック:甘口の白ワイン。
  • モンバジャック:甘口の白ワイン。
  • コート ド ベルジュラック:やや甘口の白ワイン。
  • コート ド デュラス:辛口か、やや甘口の白ワイン。
  • ガイヤック:甘口の白ワイン。
  • ガイヤック ドゥー:甘口の白ワイン。
  • パシュラン デュ ヴィク ビル:「sec」という表記のない白ワインが、残糖35g/l以上の甘さがある甘口です。secになると辛口なので、糖質は控えめに。
  • ジュランソン:過熟によって作られる甘口の白ワインです。

ラングドック地方

モーザックと呼ばれる品種で、メトードリュラル(田舎方式)で作られるスパークリングワインがあり、やや甘口の白です。AOC名は、ブランケット メトード アンセストラル。

「V.D.N」と「V.D.L」

ここまでも、何度か紹介した「V.D.N」と「V.D.L」。

「V.D.N」が途中でアルコールを添加、「V.D.L」は最初からアルコールを添加して、強制的にアルコール発酵を止めるので、葡萄の甘さが残った(糖質が残った)甘口ワインです。

「V.D.N」と「V.D.L」はフランスの各地で作られています。

まず、「V.D.N」のAOCは以下のとおり↓

  • コルス地方:ミュスカ デュ カップ コルス
  • ラングドック地方:ミュスカ ド ミルヴァル・ミュスカ ド リュネル・フロティニャン・ミュスカ ド サン ジャン ド ミネルヴォア
  • ルーション地方:モーリ・バニュルス・バニュルス グラン クリュ・リヴサルト・ミュスカ ド リヴサルト・グラン ルーション

「V.D.L」には、次のようなAOCがあります↓

  • ジュラ地方:マクヴァン デュ ジュラ
  • ラングドック地方:クレレット デュ ラングドック・フロティニャン・ミュスカ ド フロティニャン・ヴァン ド フロティニャン
  • コニャック地方:ピノー デ シャラント(ブドウ果汁にコニャックを加えています)
  • アルマニャック地方:フロック ド ガスコーニュ:(ブドウ果汁にアルマニャックを加えています)

 

ドイツの甘口ワイン

ドイツは甘口ワインの宝庫で、糖質制限中には要注意のワインがたっぷりあります。

甘口ワインが多いというよりも、「甘口ワインの格付けが高い」というお国柄でもあります。

もともとドイツは、ワインの原料である葡萄を作る事ができる限界の地域。これ以上、寒くなると葡萄作りができません。

葡萄はある程度、温暖な地域で作る方が「太陽の光」をたっぷり浴びるので、糖質が増加します。

一方ドイツのような寒い地域では、なかなか「甘い葡萄」を作るのが難しく、結果、糖度の高い葡萄から作られたワインの価値も高いというわけです。

実際、ワインの分類上でも「甘さ」を基準に評価しています。

ドイツワインの最高格付であるプレディカーツヴァインは、「果汁の糖度」によって6段階の品質等級に分けて格付けされています。

以下、数字の順番に高級なワイン。つまり糖質が多いワインです↓

  1. Trocken-beerenausleseトロッケン ベーレン アウスレーゼ (貴腐ワイン)
  2. Eiswein アイスヴァイン(氷結果実を使った、いわゆるアイスワイン)
  3. Beerenauslese ベーレン アウス レーゼ (貴腐ワインもしくは過熟による甘口。葡萄の「粒」から選りすぐる規定があります。)
  4. Auslese アウスレーゼ(葡萄の「房」から選りすぐった甘口。)
  5. Spatlese シュペトレーゼ (通常の収穫時期より、最低でも1週間「遅摘み」した甘口)
  6. Kabinett カビネット (通常就学の葡萄を使った甘口)

例えば、コンビニ等でもよく見かける「青いボトル&猫マーク」のワイン、シュヴァルツ カッツ には、「カビネット」の表記があるタイプもあります。

こんな風に、ドイツワインは「ワインの名前+6段階の品質等級」で書かれているボトルが多く、甘さの判断材料にできます。

ドイチェス ヴァイン ジーゲル(ドイツワイン保証印)を呼ばれる制度もあり、ボトルに貼り付けられる「シールの色」で味 を判断する事も可能。ただし、こちらは義務ではないので、ついたりついてなかったしています。

ドイチェス ヴァイン ジーゲルは以下4種類です↓

  • 黄色のシール:トロッケン (辛口)
  • 黄緑色のシール:ハルプトロッケン (やや辛口)
  • 赤色のシール:リープリッヒ (やや甘口)
  • ズース(甘口)

 

イタリアの甘口ワイン

イタリアのワインには、ボトルに「味わい」の表示がされている場合があり、この表記付きのものは糖質量を判定する基準にできます。

数字の順番で辛口⇒甘口となっています↓

  • Secco セッコ:辛口のワイン。 残糖量は0〜4g/l。
  • Asciutto アシュット:飲んだ後にさっぱりする辛口。残糖量はセッコと同じ0〜4g/l。
  • Abbocatto アッボカート/ Semi Secco セミセッコ:薄めの甘口。残糖量は4〜12g/l。
  • Amabile アマービレ:やや甘口。残糖量は12〜45g/l。
  • Dolce ドルチェ:甘口。残糖量は45g/l以上。
  • Cannelino カッネリーノ:フラスカーティ―と呼ばれるワインのみ使用。残糖量はドルチェと同じ。

アッボカート以上のワインは、甘くて糖質が多い可能性が高い糖質制限中には要注意ワインです。

また、イタリアでは フランスのAOCのように、DOPという制度で格付けがされています。このDOP名によっては、「甘口で作っている」という事が分かるので、DOP名も糖質の判断材料にできます↓

ピエモンテ州

  • アスティ:甘口の白ワインです。発泡性のスプマンテと、非発泡性のタイプがあります。
  • ブラケット ダックイ/アックイ:ブラケットと呼ばれる品種を使った発泡性で甘口ワインです。

ヴェネト州

  • レチョート ディ ソアーヴェ:「陰干し葡萄」から作った甘口の白ワインです。
  • レチョート ディ ガンベッラーラ:甘口の白ワイン。
  • コネリアーノ ヴァルドッビアデーネ プロセッコ:発泡性の辛口〜甘口の白ワイン。ほとんどが辛口です。
  • アゾーロ プロセッコ / コッリ アゾラーニ プロセッコ: 発泡性の辛口〜甘口の白ワイン。ほとんどが辛口です。
  • コッリ エウガネイ フィオール ダランチョ:やや甘口〜甘口の白ワインです。一部、発泡性のワイン(スプマンテ)もあります。
  • レチョート デッラ ヴァルポリチェッラ:「陰干し葡萄」から作った甘口のワインです。

フリウーリ ヴェネツィア ジューリア州

  • ラマンドロ:甘口の白ワインです。
  • コッリ オリレンターリ デル フリウーリ ピコリット:ピコリットと呼ばれる希少な葡萄を使った甘口の白。

エミリア ロマーニャ州

  • アルバーナ ディ ロマーニャ:辛口〜甘口の白ワインです。

トスカーナ州

エルバ アレアティコ パッシート:甘口の赤ワインです。

ラッツィオ州

  • エストエストエスト ディ モンテフィアスコーネ:辛口〜やや甘口の白ワイン。
  • フラスカーティ―:辛口〜甘口の白ワイン。

マルケ州

  • ヴェルナッチャ ディ セッラ ペトローナ:発泡性の赤ワインです。辛口〜甘口です。

プーリア州

  • プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア:辛口と甘口、酒精を強化したリクオローソの3つのタイプの赤ワインがあります。

サルディーニャ州

  • モニカ ディ カリアリ:辛口と甘口の赤ワインです。
  • モニカ ディ サルディーニャ:辛口とやや甘口の赤ワインです。
  • モスカート ディ サルディーニャ:甘口の白ワインです。
  • ヴェルナッチャ ディ オリスターノ:辛口と甘口の白ワインです。アルコール度数も15%以上もあり高め。

シチーリア州

マルサラ:いわゆるマルサラ酒です。風味のタイプのよって糖質量を判断できます。セッコ、セミセッコ、ドルチェの順番に甘さが増していきます。

「スプマンテ」の甘さ表示

イタリアンの代表的なスパークリングワインである「スプマンテ」には、残糖量の表示によって甘さが分かります。

表示方法は、先に紹介したフランスのシャンパンの甘味度表示とほぼ同じで、一部 イタリアならではの言い回しになっています。

  • Brut Nature ブリュットナチュレ:残糖量 3g/l未満。
  • Extra Brut エクストラ ブリュット:残糖量 0〜6g/l。
  • Brut ブリュット:残糖量 12g/l未満。
  • Extra Dry エクストラ ドライ:残糖量 12〜17g/l。
  • Secco セッコ:17〜32g/l。
  • Semi-Secco セミ セッコ:32〜50g/l。
  • Dolce ドルチェ:50g/l以上。

 

スペインの甘口ワイン

スペインの甘口ワインは、主にスペイン南部地方で作られているシェリー酒と、スペインのスパークリングワインである「カバ」に代表されます。

シェリー酒の甘さを見る基準

シェリー酒は、「基本のタイプ」によって甘さを予測する事ができます。主に次の5つのタイプが「甘さ注意」なシェリーです。

  • ペイル クリーム:フィノと呼ばれる辛口シェリーをベースにしたタイプ。ほんのり甘口。
  • ミディアム:ヘーゼルナッツの香りが特徴のアモンティリャードと呼ばれるタイプをベースにした軽めの甘口。
  • クリーム:香りを豊かにするためにアルコールを強化したオロロソと呼ばれるタイプをベースに。ベースがしっかりめなので、どっしりとした甘口タイプに。
  • モスカテル:モスカテル品種の葡萄を「天日干し」して作るタイプ。かなり甘め。
  • ペドロ ヒメネス:こちらもモスカテルと同じく、ペドロヒメネスと呼ばれる品種を「天日干し」して作ったタイプ。かなり甘め。

 

「カバ」の甘味度表示

スペインのスパークリングであるカバは、残糖量によって糖質量を判断できます。残糖量の表示は、フランスのシャンパンや、スペインのスプマンテと同じものです↓

  • Brut Nature ブリュットナチュレ:残糖量 3g/l未満。
  • Extra Brut エクストラ ブリュット:残糖量 0〜6g/l。
  • Brut ブリュット:残糖量 12g/l未満。
  • Extra Seco エクストラ セッコ:残糖量 12〜17g/l。
  • Seco セッコ:17〜32g/l。
  • Semi-Seco セミ セッコ:32〜50g/l。
  • Dulce ドルチェ:50g/l以上。

 

ポルトガルの甘口ワイン

ポルトガルは、葡萄の発酵途中でブランデー等を添加して作る酒精強化ワインが豊富。

フランスのV.D.Nや、イタリアのリクルオーソ、スペインのシェリー等と同じタイプで、途中で発酵を止めるので、糖質の分解が行われずに甘口となります。

ポルト地方のポートワイン。リスボア地方のDOC名 カルカヴェロス。ペニンシュラ デ セトゥーバル地方のDOC セトゥバル。マディラ諸島のDOC マディラ等の酒精強化ワインがあります。

特に、ポートワインの「DOC ポルト」、マディラ諸島の「DOC マディラ」は、世界三代酒精強化ワインに含まれているもので有名です。(後一つは、シェリー)

マディラ酒に関しては、使われている品種によって「甘さ」を判断する事ができます。というのも、品種によってブランデーを添加するタイミングが決まっているから。

発酵初期にブランデーを添加すると、糖質が多く残っているので甘口に。発酵終了前にブランデー添加すると、糖質がほとんど残らずアルコールと炭酸ガスに分解されてるので辛口になります。

ブランデー添加のタイミングが決まっている品種は、次の4種類です↓

  • セルシアル:発行終了直前に添加するので辛口。
  • ヴェルデーリョ:発酵後半に添加するので、やや辛口。
  • ボアル:マルヴァジアより遅れて添加。やや甘口。
  • マルヴァジア:発酵初期に添加するので甘口に。

 

オーストリアの甘口ワイン

隣にドイツがあるという立地から、オーストリアワイン分類はドイツワインの分類とほぼ同じ。「甘いものほど高級」という点も同じです。

KMW糖度」と呼ばれる、純粋な糖分のみの分量で果汁成分単位を表していて、KMW糖度が高いものほど高級品だけど糖質も高いという事になります。

  • Tafelwein ターフェルヴァイン:KMW 10.7〜。日常的な消費用ワイン。
  • Landwein ランドヴァイン:KMW14〜。「地理的な表示」がついたワイン。
  • Kabinett カビネット:KMW 17〜。補糖ができない。
  • Qualitiatswein クヴァリテーツヴァイン:KMW 15〜。補糖した後は、KMWが19以下にする。
  • Pradikatswein プレディカーツヴァイン:KMW19〜。 補糖不可。

Pradikatsweinについては、さらに細かく階級が分かれています↓

  • Spatlese シュペトレーゼ:KMW 19〜。
  • Auslese アウスレーゼ:KMW 21〜。
  • Strohwein シュトローヴァイン:KMW 25〜。 藁ワインと呼ばれるタイプ。
  • Eiswein アイスヴァイン:KMW 25〜。いわゆるアイスワイン。
  • Beerenauslese ベーレンアウスレーゼ:KMW 25〜。
  • Ausbruch アウスブルッフ:KMW 27〜。
  • Trockenbeerenauslese トロッケンベーレンアウスレーゼ:KMW 30〜。

 

ハンガリーの甘口ワイン

世界三大貴腐ワインは、フランスのソーテルヌ。ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ。そして、もう一つがハンガリーの「トカイ ワイン」です。

トカイワインは、ハンガリーのトカイ ベジアリャ地方周辺で作られているワインで、一般的なワインも作っているものの、そのほとんどが超甘口の「貴腐ワイン」。

トカイでは「貴腐化した葡萄」をプットニョと呼ばれる26kgの背負い桶で、発酵させる樽に入れます。

発酵用の樽に1杯入れたら1プットニョシュ。2杯入れたら2プットニョシュという感じで、「単位」としても使われていて、入れる杯数が多いほど甘くなります。

杯数が多いほど上級品で、その分糖質も高くなっています。トカイワインのプットニョシュをもとにした品質分類は次のとおり↓

  • Szaraz サーラズ:辛口
  • Edez エーデシュ:甘口。最低残糖分 30g/l〜。
  • Aszu 3 Puttonyos アス―3プットニョショ:最低残糖分 60g/l〜。
  • Aszu 4 Puttonyos アス―4プットニョショ:最低残糖分 90g/l〜。
  • Aszu 5 Puttonyos アス―5プットニョショ:最低残糖分 120g/l〜。
  • Aszu 6 Puttonyos アス―6プットニョショ:最低残糖分 150g/l〜。
  • Tokaji Aszuesszencia トカイ アスー エッセンシア:最低残糖分 180g/l〜。7〜9プットニョショに該当。
  • Tokaji Naturesszencia トカイ ナトゥール エッセンシア:最低残糖分 250g/l〜。貴腐葡萄100%。

「Szaraz」「Edez」については、Szamorodni サモロドニと呼ばれる分類で「自然のままに」という意味が。

「Aszu 3 Puttonyos」から上のタイプは、Azsu アスーと呼ばれる分類で、「蜂蜜のような」「シロップのような」という意味があります。

分類上のネーミングからも「糖質の多さ」が、なんとなく想像できてしまいますよね。

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