糖質・タンパク質・脂質は三大栄養素と言われていますが、糖質をカットする糖質制限中は、他のタンパク質や脂質はどれぐらいの割合や比率で摂取すれば良いのでしょうか?
糖質制限してない時のタンパク質と脂質の割合
体にとって必要な3大栄養素がタンパク質・脂質・炭水化物で、これらをPFCバランス等とも呼ばれていますね。
厚生省が発表しているPFCバランス(エネルギー産生栄養素バランスと表示)では、以下のようになっています↓
出典:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083872.pdf
炭水化物は、いわゆる「糖質」の事ですが、この割合を見てみるとかなり糖質に偏った目標値となっている事が分かりますね。
糖質制限する時のタンパク質と脂質の割合
糖質制限では、このPFCバランスの「炭水化物」部分を大きく減らしていく事を目標値としているケースが多いです。
実際の糖質制限量については、著名な研究者によって様々な意見ややり方があります↓
- 北里大学北里研究所病院糖尿病センター・センター長である山田悟氏の「ゆるい糖質制限」
- 医療法人アクアクリニック理事長・釜池豊秋氏の「糖質ゼロ食ダイエット」
- 高雄病院 理事長・江部康二氏の「スーパー糖質制限」
- 崇高クリニック院長・荒木祐氏の「断糖食」
- こくらクリニック院長・渡辺信幸の「MEC食」
江部康二氏が理事長を務める高雄病院は、江部氏の兄が1999年に日本で初めて「糖質制限」の食事法を開始した病院として有名です。
高雄病院で実施している糖質制限は、糖質の制限量を分けて3パターンの糖質制限方法を実施しています↓
- スーパー糖質制限:朝昼晩と全ての主食(炭水化物)を食べない。1食あたり10〜20グラムの糖質で1日あたり30〜60グラムの糖質を目指す。
- スダンダート糖質制限:夕食は糖質制限。朝や昼はどちらか1回だけ糖質OK。1食あたりで50〜60グラムで1日あたり70〜100グラムの糖質を目指す。
- プチ糖質制限:夕食のみ糖質制限。朝や昼は自由に食べれる。1食あたり50〜60グラムで1日あたり110〜140グラムの糖質を目指す。
ちなみに、日本人成人男女の1日あたりの平均的な糖質量は300グラムを超えるぐらいですので、一番ゆるい「プチ糖質制限」の目標値でも十分に糖質カットできている事が分かりますね。
そして、肝心のPFCバランスについて。
高雄病院が行っていスーパー糖質制限のPFCバランスは、次のようになっています。
- 糖質(炭水化物):12%
- タンパク質:32%
- 脂質:56%
脂質の量が増えている事で「太りやすくなるのでは?」と感じてしまいますが、自分の活動量に合ったカロリー上限を超えない限りは、脂質だけで太る事はない…とのこと。
むしろ、むやみに脂質をカットしすぎてしまうと、同時にタンパク質もカットしてしまう事につながります。
糖質を制限すると「糖新生」と呼ばれる、肝臓内の自身の力でエネルギー源としての糖質を生み出す作用が活発になります。(つまり、糖質は人の体内で作れるので、そもそも糖質として過剰に摂取しなくてもOKということ)
糖新生には、タンパク質から分解されたアミノ酸や、中性脂肪から分解されたグリセロール等が原料となっていますが、タンパク質は「筋肉」に主要成分でもあります。
ですので、糖質だけをカットして、タンパク質不足が起こってしまうと、せっかく糖新生が発生しても、筋肉にいきわたるタンパク質量が足りず、筋肉のタンパク質だけが減少。その結果、筋肉量が減ってしまう可能性があります。
自分の体調に合わせて糖質量を制限しつつ、意識的にタンパク質や脂質を摂取するようにする事。そうすれば、自分の1日の摂取カロリーを超えない範囲で、正しい糖質制限が可能です。