糖質制限を行っている時には、糖質を分解できる食べ物を食べればいいのでは?と思いがちですが、実は分解するのではなくて、分解を抑制する方が良いです。
糖質を分解すると血糖値が増える?
「糖質を分解する」と聞くと、体内に吸収する糖質の量を抑える事ができるかのように聞こえますよね。
ですが、実際には糖質を分解するという事は、糖をより吸収しやすくしてしまっています。
糖質を分解すると、体内に吸収しやすくなる理屈を知るには、糖質の種類を理解しておくとスムーズに分かりやすくできます。
糖質の種類の記事でも解説しているように、糖質には5つの種類が↓
この中で「単糖類」と言うのは、糖質の中でそれ以上分解できない最小のもの。
二糖類や多糖類等は、大雑把にいうと単糖類が2個や多数くっついて出来ているようなものです。
ここで「糖を分解する」という事をイメージ的に理解するために、次の図を見てみて下さい↓
ブドウ糖や果糖等の単糖は、分解されているので、左の図のように小腸の壁(小腸上皮細胞と言います)をすり抜けやすい状態。
でんぷん質等に代表されるような多糖類等は、右の図のように分解される前の糖が連結しているため、吸収されにくい状態です。
ですので、体内に入る糖質を抑制したい時には、糖質を分解するのではなくて、分解するのを抑える事がポイントとなるのです。
ちなみに、多糖類や二糖類を腸で吸収しやすいように分解するものが「消化酵素」と言われ、スクラーゼ・サッカラーゼ・マルターゼ等が代表的。
アミラーゼ等は、いわゆる「唾液」に含まれる酵素として有名ですよね。
分解を抑制する食品はどれ?
糖質の分解を抑えるという事は、糖質を分解する炭水化物酵素(アミラーゼ・サッカラーゼ・マルターゼ等)の働きを抑制するという事となります。
これらの消化酵素の働きを抑えるものとして研究データがある食品は次のようなものが↓
サラシノール
東南アジアやインド。スリランカ等の亜熱帯地域で摂る事ができる「サラシア」という植物に含まれている成分がサラシノール。
サラシノールによって、消化酵素の分解作用を抑制する事で、糖の吸収を抑える事ができます。
月見草エキス
オリザ油化株式会社によって研究データが。
月見草エキスによって、アミラーゼの分解を強く阻害している事が分かり、その阻害率はほぼ100%に近いとうデータになっていますね。
クロロゲン酸
クロロゲン酸は、植物に多く含まれているポリフェーノールの一種で、特にコーヒー豆に豊富に含まれている成分でもあります。
大手コーヒーメーカーであるUCCは、クロロゲン酸がどれぐらい糖質分解酵素を抑制できるのが研究しているデータがあります。
▶関連:脱カフェインコーヒー生豆抽出物の糖質分解酵素阻害活性とクロロゲン酸類の寄与
糖質を分解する、マルターゼ・スクラーゼ・α-アミラーゼの酵素が、クロロゲン酸を含む抽出物の濃度によって、阻害率が増えていくととのこと。
キノコ抽出物
日本食品科学工学誌に掲載された資料によるもの。
▶関連:α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼに対するキノコ抽出物の阻害活性
全部で195種類のキノコの抽出物が、アミラーゼやグルコシダーゼの働きをどれほど阻害できるのか?という実験の資料です。
ニオウシメジ・クロハツ・アミガサタケ等のキノコが強めの阻害作用を示したとの事でした。
特に阻害作用が強力だったのが「ニオウシメジ」。余談ですが、巨大すぎるシメジとして たまにニュースや新聞等でも紹介されているのがニオウシメジです↓
キノコの発生メカニズムって相当気まぐれ。栃木県立博物館で見た巨大キノコ、ニオウシメジ。両手ひと抱えほどのサイズがあった。「タケなどの植物を多量に埋めた跡地や畑」という限定的なイベント発生条件が面白い。何が作用しているのだろう。 pic.twitter.com/EW3AJARZyS
— 松崎貴之 (@gelcyz) 2016年10月10日
スーパー等で見かける事は ほぼないキノコですが、一部の農村では実際に栽培等も行われています。味も「巨大だけど美味しい」との事でした。