糖質制限ダイエットで糖のエネルギーが脳に届かず悪影響は嘘

「糖分は脳の栄養になる」という事から、糖質制限をする事で 脳に悪影響が出るのでは?と感じるかもしれません。

ですが、糖質は「必須」の栄養素ではなく、糖を摂取しなくても 脳に悪影響が出る事はありません。

 

理由その1 糖新生によって自分で糖を生み出せる

糖質が必須でない理由の一つ目は、「糖新生」と呼ばれる働きによって、自分自身で糖を生み出す事ができるためです。

タンパク質から分解されたアミノ酸と、中性脂肪から分解されたグリセロールを原料にして、肝臓内で糖質(ブドウ糖)を生み出す事ができる仕組みが「糖新生」と呼ばれています。

糖質制限によって糖質をカットすると、糖新生の働きが活発になります。

ただ、糖新生が行われる時は「タンパク質から分解されたアミノ酸」も原料になっていて、筋肉等を構成するタンパク質も消費されていきます。

ですので、意識的にタンパク質を摂取しないと、筋肉の減少にもつながってしまうため、この点には注意が必要です。

▶関連:糖質制限中のタンパク質と脂質の比率割合(PFCバランス)

 

理由その2 ケトン体が代わりになっている

糖新生のよって中性脂肪が分解され、ブドウ糖の原料となっていますが、この「中性脂肪が分解される」といタイミングで同時に排出されるのが「ケトン体」と呼ばれる成分です。

ケトン体はブドウ糖以外で脳のエネルギー源にする事が可能な唯一の成分です。

実際に、空腹時や安静時に使わえるエネルギー源はブドウ糖ではなくケトン体が中心であり、胎児や新生児のメインのエネルギー源もケトン体が使われているという研究データも存在しています。

 

ケトン体が増えると危険なのでは?

「ケトン体が多いと、酸性になってケトアシドーシスになるのでは?」と考える人も多いようです。

ですが、健常な状態での、中性脂肪の分解に由来して増えたケトン体は、いくら増えたところで体液のpHが酸性に傾くことはなく危険なものではありません。

ケトーシスとは、ケトン症とも呼ばれていて、体内のケトン体が増加し血液や体液のpHが酸性に傾く状態です。

これは、糖尿病等によってインスリンの分泌異常が起こりインスリンの量が減っている状態でケトン体増えた時に発生し「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼ばれています。

この、「インスリンの量が減っている状態で」というのがケトン体が「悪」にはならない重要ポイント

そもそもインスリンは、糖質を摂取した時に体内の血糖値を下げる時に分泌されるホルモンです。

血糖はインスリンによって、筋肉にとりこまれエネルギーとなる一方、そのエネルギー分を超えると、今度は脂肪に糖を蓄えるようになってしまい中性脂肪の要因となります。

糖質制限をすると、血糖値もあがる事はないのでインスリンも分泌されず、中性脂肪を増やす事はないというのが糖質制限ダイエットの仕組み。

例え糖質を摂取しなくても、先に解説したように「糖新生」によって、糖が作り出されたり 中性脂肪が分解される時のケトン体がエネルギー源にできます。

ここで疑問になるのが、「インスリンが分泌されない状態で、ケトン体が増えれば、ケトアシドーシスになるのでは?」という事です。

この疑問は、インスリンの分泌の仕組みを知っていれば解決できます。

インスリンは血糖値の上昇で分泌される一方で、平常時にもわずかに基礎分泌が行われているのです。つまりインスリンは、基礎的に少しづつ分泌されている分と、血糖値上昇次に追加的に大量に分泌される2つのパターンがあるということ。

インスリンの分泌量は僅かだったとしても、正常に分泌されている状態下では「酸塩基平衡」と呼ばれるpHを一定に保つ機能が正常に働くので、例えケトン体が大幅に増えてもケトーシスになる事はありません。

  • 糖尿病等によってインスリンの分泌異常が起きている:ケトン体が増えケトーシスになる
  • 健常な状態でインスリンの基礎分泌がある:ケトン体増えてもケトーシスにはならない

このような理由で、病気でない限りはケトン体が増えても危険にはならないという事です。

▶関連:糖質制限ダイエットのやり方・初心者でも3分で分かる仕組み