認知症の疾患のひとつであるアルツハイマー病。
一見すると何の関わりもないように思える「糖質」とアルツハイマーですが、これら2つの相対危険度を指名している多くの研究が存在しています。
糖尿病と「アルツハイマー病」の関連性の研究データ
九州大学が福岡の久山町で行っている「久山町研究」と呼ばれる研究は、「認知症」に関わる追跡調査を行った研究として特に有名なものです。
その追跡調査では、糖尿病時に、同時に認知症になるリスクが次のような結果になったと発表しています↓
出典:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai4/siryou7.pdf
正常な状態なグループと比較すると、糖尿病予備群と糖尿病をあわせてグループがアルツハイマーを発症する割合は、なんと4.6倍も高いという結果に。
また、他の追跡調査をした研究においても、ほとんど全ての研究で、「糖尿病とアルツハイマー」との間に相対的な危険性があるとのデータもあります↓
出典:https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/perspective_geriatrics_47_5_385.pdf
これらの研究で、特に信頼性が高いと言われているのが1999年に行われたRotterdam study(ロッテルダム研究)です。
ロッテルダム研究のデータでも、高齢の糖尿病患者がアルツハイマーになるリスクは、正常な人に比べて1.9倍に達している事が分かります。
糖質制限がアルツハイマー予防になる理由とは?
糖質とアルツハイマーの関連性について、多くの研究者や医者が関連づけているのが、「糖質過多によって脳内のアミロイドβの分解を抑制してしまうため」としています。
アルツハイマーは、脳に「アミロイドβ」と呼ばれる特殊なタンパク質が留まってしまって、脳の神経細胞が破壊される事が一因、と考えられています。
よく「運動するとアルツハイマーの予防になる」等と言われますが、これは運動によってアミロイドβを分解する酵素が活性化する事が理由です。
アミロイドβの分解は、糖質の量も大きく関わっています。
糖質を含む食事を摂取すると、血液内の糖である「血糖」の量が増えます。
そして、血糖が上がるとエネルギーや貯蓄用に保管するためにインスリンが分泌。インスリンは血糖を筋肉や脂肪にとりこむ事で「見かけ上」血糖を下げます。
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インスリンが役目を終えた時に分解する酵素が「インスリン分解酵素(IDE)」と言われていますが、インスリンを分解する以外の、副業的な役割として脳内のアミロイドβを分解してくれる役割も持っています。
ここで、過剰に糖質を摂取している場合を想定してみると…
血糖の量もその分だけ増えるので、インスリンも大量に分泌されてしまいます。
大量にあるインスリンを分解するために、インスリン分解酵素は本業である「インスリンを分解する」という役割だけに集中してしまい、副業の「アミロイドβを分解する」という部分にまで手が回らなくなってしまうのです。
その結果、アミロイドβが脳内に残ってしまう状態が増え、脳の神経細胞を破壊する事でアルツハイマーになるというのが、最近の研究発表の概要です。
アルツハイマーになる原因は様々なものがあり、現在も研究中なものも多い一方で、「危険因子」や「リスク」を減らせるという意味で考えなら、糖質制限をする事は有効な方法のひとつと言えそうですね。